天野 裕美さん:スーダン

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世界で活躍する日本人国連ボランティアからの現地報告(11)

スーダンの首都とダルフール地域で2年間にわたり活動を続ける天野裕美(あまの・ひろみ)さんの活動を紹介します。天野さんはUNVプロジェクトオフィサーとしてUNDPスーダン事務所で活動されています。

 

 

(写真)2013年6月に南ダルフール、ニアラでユースボランティアにオリエンテーションを実施する筆者 PHOTO: HIROMI AMANO

 

 

スーダンついて
2011年に南スーダンと分離するまで、スーダンは、アフリカ大陸で最大の国土を有する国でした。分離後の現在も、土地面積は、188万平方キロメートルと日本の5倍です。また資源も豊富にあり、石油、ダイヤモンド、金などの鉱物、さらに農業開発に関する潜在性も大変大きいです。 しかし、長年の内戦の影響に加え、地方ではいまだ紛争が頻発しており、基本的なインフラの欠如、国内避難民(IDPs)、貧困等問題が多く残っています。

 

 

スーダンの生活
スーダン人は、一般的に大変人がよく、穏やかでとても親切です。道に迷ったりすると、通りがかりの人が進んで助けにきてくれます。しかし、車に乗ったとたん、人が変わったようなアグレッシブさで運転する一面があったり、地方では部族紛争が多発したりと、いまだ不可解なところもあります。私は、国連ボランティアとして、首都のハルツームとダルフール地域にそれぞれ1年ずつ赴任しました。ハルツームは、赴任前に想像したよりも都会で、種類は少なくともたいていの日用品は見つけられ、おしゃれなレストランやカフェもあります。一方、ダルフールは、いまだ部族間や政府、反政府勢力間の紛争が多々あることから、国際スタッフの生活範囲は制限されています。赴任地である南ダルフールのニアラでは、基本的に町内歩行禁止なので、1年近く生活していますが、日々、住居のある国連・アフリカ連合ダルフール派遣団(UNAMID)の基地と町にある国連開発計画(UNDP)の事務所を車で往復するばかりで、残念ながら町のことをよく知らないままです。

 

 

国連ボランティアとしての活動
私は、国連ボランティアとしてUNDPスーダン事務所の危機予防と復興ユニットに所属し、最初の1年間はハルツームで8国連機関合同平和構築プログラムに携わりました。その後、青年海外協力隊時代の青少年活動の経験から、2013年3月より、ダルフールにおける「生計復興プログラム:ユースボランティアダルフール復興プロジェクト」に携わっています。

このプロジェクトは、ダルフールの大学卒業者を対象に、主にビジネスと環境に関するトレーニングを行い、その後、訓練修了者をボランティアとして、それぞれの地域に9か月間派遣します。このシステムは、日本の青年海外協力隊プログラムに大変似ています。ユースボランティアは、ビジネス及び環境に関するトレーニングを地域住民に行うと共に、小中ビジネス企画の発案、マイクロファイナンス機関への橋渡し等を行い、地域の生計向上および環境に考慮した貧困削減を目指しています。このプロジェクトは、ダルフールの5つの州をカバーしており、現在まで、205人の大卒者を訓練し、その内139人をボランティアとして、47コミュニティに派遣しました。参加ユースボランティアの感想は、こちら(英語)に掲載されています。

このプロジェクトで私は、スーダン人プロジェクトマネージャーを補佐しながら、プロジェクト運営をリードする役割を任されており、非常にやりがいを感じています。学生時代より、青少年を対象にした活動をすることが目標ということもありますが、私はこのプロジェクトを大変気に入っています。ダルフールは、2003年に紛争が勃発してから、すでに10年という月日が経っていますが、未だに人道援助が続けられており、国際社会の援助疲れ、ダルフール内の援助依存が問題となっています。そんな中、このプロジェクトでは、ダルフールの若者によって、ダルフールの人々の生活向上が促進されており、少しずつでも、ダルフールの人々の自助努力が高まることを目標に活動しています。しかし、スーダンでは、社会の中で若者の能力や可能性がまだ軽視されています。その中で、プロジェクトを通し、若者が地域社会の人々のために生き生きと働く姿や、人々の若者への見方が変わるところを目撃することは、大変嬉しいことです。

国連ボランティアのよいところは、自分のやる気とアイディア次第で、自身の任務のみに留まらず、様々なことができるところにあると思います。例えば、私はスーダンの若者に、人権ワークショップを開催し、2013年の国際ボランティアデー(12月5日)には、ユースボランティアプロジェクトとUNV合同で、国内避難民(IDPs)キャンプのごみ拾い活動も実施しました(詳しくはこちら=英語=から)。自身が積極的に活動することで、多くを学び、経験し、様々な人々に出会うことができ、そこからまた新しいプロジェクトやパートナーシップが生まれることもあります。国際社会で活躍することに興味がある方には、とても良い機会ですので、ぜひ多くの方に参加していただきたいです。

 

Profile ———————

天野裕美(あまの・ひろみ)
UNVプロジェクトオフィサー
UNDPスーダン事務所

2003年成蹊大学文化学科卒業後、2004年に英国エセックス大学にて人権学修士号取得。ブリュッセルでのインターンシップを経て、2007-2009年まで、青年海外協力隊(青少年活動)としてヨルダンに赴任。在カタール日本大使館専門調査員として勤務した後、2012年2月より現職。