徳田 由美さん:カザフスタン UNESCO(教育)

徳田由美さん
カザフスタン UNESCOアルマティ事務所配属
(2001年11月~2003年8月)

キルギスタンでの教育セミナーにて。
参加者(現地の教員の方たち)と撮影した写真。
中央が徳田さん。

1.UNVに参加されたきっかけと経緯について教えていただけますか?

UNVに応募したのはイギリス留学中で、ちょうど修士論文を書き終えた頃でした。大学を卒業後、ロンドン大学大学院(Institute of Education)に留学するまでの4年間、小学校の教諭をしていましたが、留学後は開発の現場での経験を積みたいと考えていた為、開発分野を目指すエントリーポイントとしてUNVへの応募を決めました。帰国後すぐに国際協力事業団(JICA)本部でミャンマー経済構造調整政策支援プロジェクトの事務局勤務になりましたが、専門分野である教育に関わる仕事に携わりたいという気持ちが常にありました。ロスター登録後、半年ほど経ってカザフスタンからオファーが来て、職種が自分の専門分野や興味と一致したので、オファーを受諾しました。

2.カザフスタンでの活動の内容はどのようなことでしたか?

UNESCOアルマティ事務所にて、教育事務官(Education Officer)として、中央アジアの教育プロジェクト(幼児教育から生涯教育まで幅広く)の企画・運営に携わりました。UNESCOアルマティ事務所は中央アジアの地域事務所であるため、カザフスタンだけでなく、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタンも担当していました。具体的な仕事内容としては、政府レベルでの教育政策の見直しと助言、教育省の行政官を対象とした教育計画能力の向上への支援、教員を対象にした教授法改善のためのセミナーの企画や実施、中央アジア5カ国の教育フォーラム(会議)の定期的開催などです。私はUNVでしたが、現地でのロシア語の肩書きは“教育専門家”であり、専門家としての質の高い仕事内容を要求されました。ですから、任務の重さや現地での立場を考えると、正規の職員と同等レベルの仕事内容だったと考えても過言ではないでしょう。

3.UNVとして活動して良かったと思うことは?

まず、国連での“働き方”が分かったことです。国連でもいろいろな機関があり、またオフィスによっても様々だとは思いますが、一度経験してみることによって、自分にとって心地よい勤務環境かどうかを知る、良い機会になりました。また、大学院で学んだ理論を実践してみる機会も多く、自分の専門分野での幅広い経験を積むことができました。UNVでカザフスタンに赴任が決まるまで、中央アジアへの興味はあまりなかったのですが、今回の赴任を通じて中央アジアの教育についての知識を深める事ができ、大変貴重な経験となりました。

4.UNVとして赴任中、苦労した点は?

一番苦労したのは語学(ロシア語)です。中央アジアでの勤務の場合、ロシア語ができないことは明らかにハンディとなります。私の場合は、カザフスタンに着任した直後は、ほとんどロシア語ができなかったので、生活にも仕事にも支障をきたしました。帰国する頃にはオフィスにかかってくる電話(9割がロシア語)に応答したり、会議の場での自己紹介や簡単なスピーチ程度はロシア語でできるようになりましたが、それはまさに“必要に迫られて習得した”からでしょう。

5.UNVを目指す人へのアドヴァイスなどあれば。

将来国際機関で働きたいという熱意がある方にとっては、UNVは魅力的な機会といえるでしょう。

ただ、生活環境や仕事は非常にハードでストレスも多く、UNVの生活手当て(VLA)は、仕事の内容と照らし合わせれば、見合っていないと言わざるを得ません。そういった意味では、UNVはボランティア精神なしではできないと思います。また専門性に加え、体力と精神力も要求されますので、心身ともに健康であること、そして逆境に強いことが非常に重要です。

写真:ユネスコが支援しているウズベキスタンのCommunity Learning Centreをカザフスタンの参加者と視察した時