国連ボランティア計画(UNV)とは

国連ボランティア計画(UNV)の沿革

国連ボランティア計画(UNV)は、国連開発計画(UNDP)の下部組織として1970年の国連総会決議によって創設されました。UNVは、活動を開始した1971年から、開発途上国における開発支援や紛争地域での緊急援助、その後の平和構築活動などに貢献する意志のある市民を世界中から募り、各国政府や国連機関、NGOなどの要請に応じて「国連ボランティア」として現地に派遣してきました。現在までに3万人を超える国連ボランティアが、世界約130カ国において任務を遂行しました。また、UNVは、「ボランティア国際年」の2001年以降、ボランティアリズムの地球規模での推進という任務も国連総会から与えられ、ボランティアリズムを通じて世界の平和と開発に貢献する国連機関として活動をしています。UNVの本部は、ドイツ・ボンにあります。

国連ボランティア計画(UNV)の使命

ボランティア活動は、活動が行われている地域社会や、ボランティア活動を行う人自身に恩恵をもたらすだけでなく、社会的にも経済的にも大きな貢献を成しうるものです。
また、ボランティア活動は人々の間に信頼と助け合いの精神を育むことで、地域社会の結束をより強める役割も果たします。 国連ボランティア計画(UNV)は、ボランティアの動員やボランティアリズムの推進を通して、「持続可能な人間開発(Sustainable Human Development)」を支援している国連機関であり、人種や国籍に関係なく全ての人々に対してその参加の機会を広げることで、「平和構築」や「開発支援」といった目標に貢献しています。UNVの活動は世界各地で行われており、あらゆる種類のボランティア活動(UNVの活動分野)を促進し、より多くの人々に活動への参加を呼びかけています。またその活動は、ボランティア活動の真髄である「自由意志(free will)」、「コミットメント(commitment)」、「参画(engagement)」、「団結(solidarity)」などの精神に基づいて行われています。

事務局長の紹介

国連ボランティア計画(UNV)

事務局長

トイリー・クルバノフ

TOILY KURBANOV (MR)
Executive Coordinator, UNV

トイリー・クルバノフ氏(ロシア連邦)は202114日に国連ボランティア計画(UNV)事務局長に就任しました。国際的・国内的に25年以上のリーダーシップ経験のあるクルバノフ氏は今まで、UNV事務局次長を務め、アジェンダ2030や国連改革におけるUNVの立ち位置を明らかにするうえで、重要な役割を果たしてきました。クルバノフ氏は2016年にUNV事務局次長としてUNVに加わるまで、国連開発計画(UNDP)ミャンマー国事務所長(2012年から2016年)、UNDPフィジー太平洋島嶼国常駐副代表(2007年から2012年)などを歴任しています。さらにそれ以前には、中央アジアと南カフカス地域の銀行業界、政府および外交界で要職に就いていました。クルバノフ氏はハーバード大学から行政学修士号、ロシア経済大学から経済学修士号を取得しています。

事務局次長の紹介

国連ボランティア計画(UNV)

事務局次長

横須賀恭子

KYOKO YOKOSUKA (MS)
Deputy Executive Coordinator, UNV

横須賀恭子氏(日本)は202141日付で国連ボランティア計画(UNV)事務局次長に任命されました。横須賀氏は20197月から、UNV渉外広報部長を務めてきました。1998年にジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)としてルーマニアで国連開発計画(UNDP)に加わって以来、UNDP本部の開発政策局やヨーロッパ・CIS局に配属されています。横須賀氏はまた、ウズベキスタン(2005年から2010年)、ラオス人民民主共和国(2011年から2014年)、バングラデシュ(2017年から2019年)で、UNDP常駐副代表も歴任しています。横須賀氏はロンドン大学東洋アフリカ研究学院で修士号を取得しています。

国連ボランティアのプロフィール

国連ボランティアの平均年齢は38歳、平均約10年の専門分野おける実務経験を持つエキスパートです。約7割のボランティアは、自国以外の国での任務に就きますが(インターナショナル国連ボランティア)、自分の国において活動するボランティアもいます(ナショナル国連ボランティア)。毎年約9,000名程度の国連ボランティアが派遣されていますが、その出身国は約160カ国・地域にもわたり、その80%以上が、開発途上国の出身のボランティアです。 国連ボランティアは、開発支援、平和構築支援、人道支援、人権擁護、ジェンダーの平等性の推進など、100以上にわたる職業分野の専門家として、通常6ヶ月から2年にわたり、開発途上国の任地に派遣されています。国連ボランティアの派遣先は、現地で実際にプロジェクトを執行する様々な国連機関などで、活動分野も多様ですが、「現地に溶けこみ、人々の生活に密着した支援を行う」という基本理念は、いかなる分野においても共通しています。

国連ボランティア計画(UNV)の財源

国連ボランティア計画の予算は、年間約2億ドルで、その約25%が上部組織であるUNDPからの拠出で占められています。その他、国連ボランティアの派遣のため国連機関(UNDP,UNICEF,UNHCR,WFP等)の通常予算に組み込まれている資金や、受け入れ政府による拠出、ドナー国政府が特別な目的で拠出する基金、そしてボランティアリズムの開発への貢献を示すための先駆的なプロジェクトを行うために創られ、ドナー国政府の拠出により支えられているUNV特別基金(SVF: Special Voluntary Fund)などがあります。また日本政府からも、1994年より「日本信託基金」という形で、毎年財政支援を受けています(日本政府による財政支援)。 国連ボランティアの派遣には、往復の渡航運賃、生活手当、住居手当、保険料、着任・離任手当などを含めて、一人あたり平均で年間50,000ドルを要しますが、これらはすべて、以上のような財源によって支えられています。なお、国連ボランティアと同レベルの技能と経験を持つ専門家を、通常の職員として派遣する場合、この3~4倍の費用がかかると見積もられており、国連ボランティアは財政的にも貢献をしています。