故中田武仁国連ボランティア終身名誉大使

1993年4月、長男中田厚仁さんが国連ボランティアとしてカンボジアで活動中に殉職された後、父親の中田武仁氏は、厚仁さんの遺志を継ぐため、第一線のビジネスマンとしてのキャリアを辞し、自らも国際平和のためのボランティアとして活動を開始しました。
1993年6月には、国連ボランティア名誉大使に任命され、これまで30か国以上の国々において国連ボランティア計画の活動の現場を訪問したほか、講演など様々な機会を通じて国連ボランティア計画の活動の紹介やボランティアリズム推進についての啓発を行ってきました。
そして、2008年4月8日に海外視察等の国連ボランティア計画の公務から引退された後も、ご自身のライフワークとしてボランティアリズムの推進のために主に日本国内で精力的に活動を行っておられました。国連ボランティア計画は、中田大使の活動に感謝し敬意を表する意味で、引退以降も「国連ボランティア終身名誉大使【UNV Honorary Ambassador(Retired)】」として協力関係を続けてきました。
中田大使は2016年5月23日に永眠されました。生前の中田大使に賜りました格別のご厚誼とボランティアリズム推進のご功績に、国連ボランティア計画から改めて厚く御礼申し上げます。

-中田大使からのメッセージ-
私たちは、歴史の中から人間の営みについて多くを学ぶことが出来、それを現在の私たちの社会に活かす知恵を持っています。と同時に、今、生きている隣人たちからも多くを学べる能力も持っています。
ボランティア活動が、行政の補完機能、それも安価な労働を提供しているだけと見られている限り、単に「可哀そうな人たち」を助ける善意の活動としか理解されませんが、何物にもとらわれることのない純粋な目で見つめた私たちの社会の現実から、現場の「草の根」ボランティア活動を通じて学んだ知恵は、尊い人類の英知として、世界中の人たちが凡て共有すべき財産です。
今、私たちの身のまわりに起こっている出来事を他人事ではなく自分自身のこととして捉え、悲惨な破局を迎えないような方法を見い出し、また素晴らしい成功体験から得た、より良い社会にするための手立てを編み出すというボランティア活動の謂わば「先駆性」を、私たちはもっと認識すべき出はないでしょうか。
国連という20世紀人類が産み出した組織を、今日の、そして明日の人類全体のために最も活性化しうる力を「世界市民」として活動する国連ボランティアの活動の中に私は一番期待するのです。

UNVと日本トップに戻る