園田裕明さん・ザンビア
UNV本部ウェブサイトに掲載された、FAOザンビア事務所派遣・バリューチェーン開発専門官の園田裕明さんの記事を日本語にてご紹介します(原文はこちら)。
裨益者へのフィールドワークショップを実施している様子(園田裕明さん、バリューチェーン開発専門官、FAOザンビア)@FAO 2020
ザンビアの食糧難に取り組む小農たちとの協働
内陸のザンビアでは、60%近くの世帯が何らかの農業活動に従事しており、その多くは自家消費に利用されています。しかし、国内総生産に対する農業生産の貢献度は着実に低下しており、2000年には24%でしたが、2019年にはわずか2.6%にまで落ち込んでいます。気候現象の増加や害虫・病気の侵入と密接に関連し、ザンビアは現在、フードバリューチェーン全体で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、農業生産性にさらなる影響が及ぶと予測しています。
ザンビアの人々にとって、食料不安は喫緊の課題です。同国の農村人口の約18パーセントが、生活を守るための緊急措置を必要としています。さらに 15 パーセントは、食料需要をわずかに満たすことができるに過ぎず、同国の 1,780 万人のうち 3 パーセントは、すでにかなりの食料不足に直面しています。
健康と栄養への影響は、特に子どもたちに対して顕著です。人口の半数近くが栄養不良に分類され、5歳未満の子どもの34%が発育不良を経験しています。この年齢層の子どもたちの死亡率は現在5.4%です。
食料安全保障の状況を改善する鍵は、農業生産性を向上させる新しい方法を検討することです。これには、農民と協力し、小規模農家で小麦やトウモロコシなどの主要作物の生産を持続的に強化する方法を検討することが含まれます。
国連ボランティアの園田裕明(そのだ・ひろあき)さん(日本)は、2020年3月、食糧農業機関(FAO)のバリューチェーン開発専門官としてザンビアに着任しました。園田さんは2つのプロジェクトに配属されました。EUが支援する「ザンビアにおける農業生産強化プロジェクト(SIFAZ)」と、FAOの地域技術協力プログラム「FAOの地域技術協力プログラム「アフリカ地域全体の技術協力プロジェクト(OYA)」です。
「SIFAZプロジェクトでは、経済的に持続可能な農業を確立するための戦略立案で重要な役割を担いました。また、テクニカルレポートに掲載するためのデータや統計など、アグリビジネスやマーケティングに関する情報を作成し、マーケティング機会のマッピングや市場との連携づくりを支援しました。」
「当プロジェクトは、食料不安、栄養失調、ジェンダー不平等、資源基盤の持続可能な管理など、重要な問題に取り組んでいます」と、園田さんは説明します。「このプロジェクトは、農業省をはじめとする国のステークホルダーを主な実施パートナーとして巻き込みました。FAOは、技術的な知識の伝達を確実にするため、本部から村までのすべてのレベルの職員を訓練し、この知識が農民にどのように伝達されるかを監督し、地方自治体が現場で問題に取り組む能力を強化しました。」
SIFAZプロジェクトで参加型農村評価を行う、ザンビアの国連ボランティア・バリューチェーン開発専門家、園田裕明さん。©FAO, 2020
園田さんの貢献により、全国27地区にある150の協同組合の1万6千人の農民に支援が行き渡りました。ザンビアの国家農業投資計画に沿って、食料安全保障と経済福祉の向上のために小規模農家を持続的に強化する必要性が認識され、高まっていることへの国の対応を支援しました。
園田さんのボランティア派遣は、「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業(HRD)」の一環として、日本政府からの支援を受け実施されました。