藤松 理子さん:カンボジアNGO、ニジェールUNV/UNDP(幼児教育)

藤松理子さん
カンボジア NGO配属 (1997年8月~1999年9月)
ニジェール UNV/UNDP配属 (2001年6月~2003年12月) 

1.UNVに参加されたきっかけと経緯について教えていただけますか?

私は二度のUNVの経験があります。よって二度応募したことになります。

一度目は、自分の意思というよりは、所属していた団体からの薦めによってです。
二度目は、フランスでの短期間の語学留学を終えて、仕事のことを考えていた時に、せっかくだからフランス語が使えるような仕事ができればいいなということ、またそれまでにニジェールとカンボジアという開発途上国での幼児教育に携わっていた経験から、フランス語圏で幼児教育に携わることができれば・・・と考えていた時に、UNVとしてのポストに登録してみようと思ったわけです。

2.カンボジア、ニジェールと二度のUNV派遣のそれぞれの仕事の内容について教えていただけますか?

カンボジアの場合:
日本のNGOに所属してのUNVでした。仕事内容はNGOのプロジェクト「アジア子どもの家」というスラム(貧困)地域の子どもたちを中心とする支援で、幼稚園・児童図書館・児童相談などの機能を持つ施設のスタッフ指導、運営・管理、予算計画などに至るまで、調整をする担当者として、活動しました。どちらかというとUNVとしてより、NGOのスタッフとしての色が強いものでした。

ニジェールの場合:
UNDPが初めて行なうという幼児教育関連のプロジェクト「住民参加型幼稚園設立パイロットプロジェクト」の業務調整担当者としての活動でした。これはニジェールの3地方9ヶ村(各地方3ヶ村)に村人によるコミュニティーベースで幼稚園を設立し、就学前教育の重要さの理解と子どもを取り巻く環境の整備・教育教材の開発、対象地域の女性の労働の軽減と環境改善を行なうというものでした。このような子どもに関連するプロジェクトは、多くの場合ユニセフが行なうことが多いため、UNDPのプロジェクトとしても注目を浴びていたため、プレッシャーも強くありました。

3.2回のUNVを振り返って、一番充実していたと思うこと、やりがいを感じたことは何ですか?

海外で、特に開発途上国で、自分の経験を生かすことができる幼児教育の仕事に携わるということは、希望や失望とが時折混じって複雑な思いもありましたが、子どもとのふれあい、そして同じ仕事に携わる人との共感を得た時に、大きな充実感を感じることが出来ました。

大きな責任のある仕事を任されていたので、自分の思いや感じたこと、経験がそのままプロジェクトに反映されるので、プレッシャーと同時に大変やりがいがありました。そして難題にぶつかったり、その解決がスタッフと一緒に出来た時、また現地の人々(村人)と直接現場でコミュニケーションを取れた時にも、やりがいを感じました。

また、カンボジアやニジェールという国の人や文化・習慣などに直接触れたこと、そして他の国のUNVの人々との交流というのも、仕事のみならず生活の上での充実感をもたらしてくれました。

4.また苦労した点は?

仕事の上では、嬉しいことも楽しいこともたくさんあった分、怒りや苦労ももちろんありました。大なり小なり自分が責任を持たされて仕事に携わるということは、晴れの日もあれば嵐の日もあると思っていました。またストレスの解消方法も自分なりにありましたので、苦労を感じるということはありませんでした。ただ、スタッフの中に全くやる気のない人がいて、秩序を乱すようなこと、また金銭上のトラブルが起こり、そのことが明らかで、しかも仕事上かなりの支障をきたしているために、計画が思い通りに進まないということがあった時に、相談する相手(例えばプログラムオフィサー)がいなかったり、UNVサイドが全く取り扱ってくれなかった時には、本当に悩まされ、かなり苦労をしました。(結局この時は最終的に東京のUNVオフィスに相談することになりました。)

ニジェールの場合、目的のひとつに女性支援ということがあったのですが、どうしてもお国柄女性が軽視されがちで、それがプロジェクトの障害になることもあって、何でもかんでも男性がゆうぐうされるということで、話し合いの際に、プロジェクトに直接関係のないUNDPスタッフの意見が取り入れられたりなどの納得のいかないこともありました。 内容的に的確な意見であればいいのですが、たいていの場合そうでないことが多くて困りました。

個人的には、やはり自分の語学力の問題です。業務に支障のない言語力となると、上級の力を求められていることになります。私の場合、お恥ずかしいことですが、決して語学力が堪能ではありません。センスがないのでしょう。カンボジアでは英語とクメール語、ニジェールの場合はフランス語でした。言い訳になるかもしれませんが、いくつかの言語を学んだ分、どの語学力も中途半端なのです。時として、何か問題がある場合に、実際の原因はそうでなくても、語学力不足からだと捉えられることもあり、そんな時、大変辛い思いをしました。

5.藤松さんにとって、UNVだからこそ出来ること、あるいはUNVの良さ、とはどういうところでしょうか?

現在では、色々な形でのボランティア活動が可能だと考えられます。NGO・NPOはじめ、青年海外協力隊、また外国の団体に所属するということもできます。UNVももちろん当てはまります。私はUNVより以前に青年海外協力隊での経験もしていますし、NGOに所属してのUNVであった時期もあります。

UNVだから出来ることと改まって考えると、上手く言えませんが、自由さと責任感が与えられているということでしょうか。言い換えれば、遠慮しなくてもいいのかもしれません。青年海外協力隊は、正直規制もあり、自分の位置は一ボランティアとして確立されているものの、責任を持ち一つのことを任されるまではいきません。また、これは私自身の問題ですが、日本人の社会についつい甘えてしまう。NGOは資金繰りの点で納得いかないことも多々経験しました。UNVは、私のように外国から来た者に対して寛容であり、プロジェクトに関しても自分の意見をちゃんと述べることも可能で、しかも責任感を持たないとやっていけないのです。自分の直接的な意見を反映できます。また、その国の人はもちろんのこと、色々な国のUNVの人々とも交流ができ、その分色々な仕事に関する意見も聞くことができます。また色々なプロジェクトの活動を知ることもでき、勉強になります。国連関連ということで、地方出張が多かった私などは、車での移動に関しても安全面でも守られていたと今つくづく思います。相談の窓口が本来は多いというのも、いいことだと思います。ただこれに関しては、ニジェールでの私の活動期には運悪く適しませんでしたが。

あと、仕事の経験を重視してくれますから経験を積んでいるとよいのですが、その反面、若い人々に対しても受け入れが広き門だなと感じました。これは大変よいことだと思いました。

6.これからUNVを目指す方へ、メッセージやアドヴァイスなどがあればお願いします。

当たり前のようですが、心身ともに健康であること、自己管理は自分の責任で行なうことです。そして海外に行けば自分は外国人であるのですから、嬉しくも悲しくも、やはりどうしても外国人扱いされてしまいます。そんな時に、前述の苦労の部分で述べましたが、語学力に関しては、堪能なほどいいと思いますので、日々向上心を持つことが必要だと思いました。

どんな国にでも生活できる自信より、柔軟性のある心、受け入れることができるかどうかが重要だと思います。好きになれたらなおいいですよね。幸い私はどちらの国も今も大好きです。

機会があれば、また幼児教育の関連で海外での活動も行なえればとおもっています。その時にはUNVに登録しようとも考えていますので、三度目の挑戦をしてもいいと思っていることこそ、私のUNVに対しての思いとUNVを目指す方への答えではないでしょうか。

とにかく、UNVでの活動を経験してみてください。国も仕事内容も多種多様です。